
PL法(製造物責任)とは|EC販売者が負う責任と備え方
「うちは問屋から仕入れて売っているだけ。もし商品に不具合があっても、それは作ったメーカーの責任でしょう」——そう考えている方は多いと思います。たしかに、多くの場合はその通りです。
でも、海外から直接輸入した雑貨、自社ブランドとして工場に作ってもらった(OEM=相手先ブランド製造)商品を扱っているなら、話は少し変わります。もしその商品の欠陥でお客さまがケガをしたり、他の持ち物を壊してしまったら——あなたのお店が「製造した人」とみなされ、賠償責任を問われることがあるのです。今日はそんな「知らずに背負っているかもしれない責任」を、小さなお店の目線でやさしくほどいていきます。こわがらせたいのではありません。知っておけば、ちゃんと備えられる話です。
結論:PL法(製造物責任法=製品の欠陥でケガや損害が出たとき、作った側が負う賠償責任を定めた法律)は、メーカーだけの話ではありません。輸入した人・自社ブランドとして表示した人も「製造業者」とみなされ、責任を問われることがあります。
だからこそ備えは3つ。①自分がPL法上の責任を負う立場かを知る → ②検品・表示・説明書で欠陥とトラブルを防ぐ → ③PL保険(生産物賠償責任保険)と記録で、万一に備える。順番に手を打てば、必要以上におそれることはありません。最終的な線引きは、取り扱う商品に応じて専門家(弁護士・保険会社など)に確認しましょう。
いま何が起きているか|「売っているだけ」で済まない場合がある
PL法(製造物責任法)は、1995年から施行されている法律です。むずかしく聞こえますが、考え方はシンプルで、「製品の欠陥(本来あるべき安全性を欠いていること)が原因で、人の体や他の財産に被害が出たら、その製品を世に出した側が賠償する」というものです。被害者はメーカーの「落ち度(過失)」を証明しなくても、「欠陥があった」ことを示せば賠償を求められる——ここがポイントです。
では、誰が「責任を負う側(製造業者等)」になるのでしょうか。ここが、EC運営者が見落としやすいところです。おおまかに言うと、次のような立場が含まれます。
- その製品を製造・加工した人(=工場やメーカー)
- その製品を輸入した人(=海外から仕入れて国内で売る輸入業者)
- 製品に自社の名前やブランド名を「製造者」として表示した人(=OEMで自社ブランド品として売るお店など)
つまり、国内メーカーの商品をそのまま仕入れて売る「販売しているだけ」のケースなら、基本的に製造業者の責任は負いません。けれど、海外から直輸入している、または自社ブランドとして作らせているなら、あなたのお店がPL法上の責任を負う立場になりうるのです。越境・輸入を始める前に許認可や責任の全体像を押さえたい方は、販売に許可がいる商品(古物・食品・化粧品等)もあわせてどうぞ。
もうひとつ知っておきたいのが、欠陥は「壊れていること」だけではないということ。PL法でいう欠陥は、大きく3つに分けて考えられています。(1)設計そのものに問題がある「設計上の欠陥」、(2)作る過程で生じた「製造上の欠陥」、(3)危険性の説明や警告が足りない「指示・警告上の欠陥」。たとえば「高温で使うと変形する」商品に注意書きがなく、それでやけどをした——これも欠陥とみなされうる、というわけです。だからこそ、取扱説明書や注意表示は“おまけ”ではなく、お店を守る大事な備えになります。
具体例|自分が責任を負う立場かを3問で見分ける

むずかしい条文を覚える必要はありません。扱っている商品について、次の3つの問いを順番に通してみましょう。
① その商品を「海外から直接輸入」していないか
まず確かめたいのが輸入かどうか。海外のメーカーや工場から直接仕入れて国内で売っているなら、あなたは「輸入業者」として製造業者と同じ責任を負いうる立場です。海外メーカーに賠償を求めるのは現実には難しいため、法律は国内の輸入者に責任を向けています。「個人輸入の延長で、海外サイトからまとめ買いして販売」も、繰り返し商売として行えば同じ考え方です。
- ×「海外から仕入れただけだから、責任は向こうのメーカー」
- ○「国内で売る以上、輸入したうちが製造業者と同じ責任を負いうる。だから検品と保険を厚くする」
② 自社ブランド名を「製造者」として表示していないか
次に、商品やパッケージに自分のお店・ブランドの名前を「製造元」「販売元」として出しているか。OEM(オーイーエム=工場に自社ブランドで作ってもらう仕組み)で、自分のブランド名を製造者のように表示している場合、実際に作ったのが別の工場でも、「自分が作った」とみなされうるのがPL法の考え方です。ノーブランド品に自社ラベルを貼って売る場合も同じ発想になります。OEMの進め方と責任の範囲はOEM・オリジナル商品の作り方と最小ロットでくわしく触れています。
③ 国内メーカー品を「そのまま仕入れて売る」だけか
①②のどちらにも当てはまらず、国内メーカーの完成品を、そのまま(表示も変えず)仕入れて売っているだけなら、原則としてPL法上の製造業者責任は負いません。この場合の第一の責任は、作った国内メーカーにあります。
ただし油断は禁物です。製造業者の責任を負わないケースでも、契約不適合(届いた商品が約束と違う)や接客・案内のミスで、お店が別の責任(民法上の責任や、景品表示法などの表示の責任)を問われることはあります。「PL法はセーフ」でも「何の責任もない」わけではない、と覚えておきましょう。トラブルが起きたときの初動はクレーム対応の基本フローが役立ちます。
※この3問は、あくまで“見当をつける”ためのものです。実際の線引きは、商品の種類・表示のしかた・契約内容によって変わります。不安があれば、弁護士や加入している保険会社に確認してください。
あなたへの影響
- 輸入品・OEM品を扱うお店は、気づかないうちにPL法上の責任を負う立場にあるかもしれません。これを知らずに「メーカーの責任」と思い込んでいると、いざ事故が起きたときに無防備なまま矢面に立つことになります。まずは“自分の立場を知る”だけで、打つべき手が見えてきます。
- 検品・表示・説明書は、単なる作業ではなく「欠陥によるトラブルを未然に防ぐ盾」です。とくに(3)指示・警告上の欠陥は、注意書きを足すだけで防げるものが多い。コストをかけずに効く備えです。
- 一方で、PL保険(生産物賠償責任保険)に入らないまま高リスク商品を売り続けると、万一の賠償が小さなお店の存続を揺るがすことも。可能性は低くても、起きたときの打撃が大きいリスクには、保険で備えるのが定石です。
明日やること
- 自分が扱う商品を「①輸入品 ②OEM・自社ブランド品 ③国内メーカー品そのまま」に仕分けする。①②があれば、PL法の備えを優先する。
- ①②の商品について、取扱説明書・注意表示・警告文が十分かを点検する。「やけど」「誤飲」「使用年齢」など、想定される危険の注意書きが抜けていないか確認(指示・警告上の欠陥を防ぐ)。
- PL保険(生産物賠償責任保険)への加入を検討する。すでに加入済みなら、扱う商品が補償対象か・補償額は十分かを保険会社に確認する。
- 仕入れ・検品の記録を残す仕組みを作る。いつ・どこから・どのロットを仕入れ、どんな検品をしたかの記録は、万一のとき「欠陥がなかった/原因はどこか」を示す助けになる。
- 判断に迷う高リスク商品(食品・電気製品・乳幼児用品など)は、弁護士や保険会社など専門家に相談して線引きを確定する。関連する利用規約・免責の整理は利用規約・キャンセルポリシーの作り方も参考に。
PL法(製造物責任)への備え チェックリスト
- 扱う商品を「輸入品/OEM・自社ブランド品/国内メーカー品そのまま」に仕分けした
- 輸入品・OEM品があり、自分がPL法上の責任を負いうる立場だと把握している
- パッケージ・表示に自社名を「製造元」として出しているかを確認した
- 取扱説明書・注意表示に、想定される危険の警告が書かれている(指示・警告上の欠陥対策)
- 使用年齢・使用上の注意・保管方法など、安全に関わる情報を記載している
- PL保険(生産物賠償責任保険)への加入を検討・確認した
- 保険の補償対象に、実際に扱う商品が含まれているか確認した
- 仕入れ先・ロット・検品内容の記録を残す仕組みがある
- 不具合・事故の連絡を受けたときの一次対応フローを決めている
- 高リスク商品について、専門家(弁護士・保険会社)に責任範囲を確認した

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あなたのお店では、輸入品やOEM品を扱っていますか。扱う商品ジャンルを教えていただければ、無料診断で「PL法の備えとして、まず手をつけるべきポイント」の見立てを一緒に考えてお返しします。
参考(公式・一次情報)
※本記事は一般的な解説です。実際の責任の有無や範囲は、商品の種類・表示・契約内容によって異なります。重要な判断は弁護士・保険会社など専門家にご確認ください。
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